桜のころ

春のころ桜の季節といえば入学式。
新一年生が母親に手を引かれ学校の門をくぐる。
最近は両親揃って式に出席するそうな。

きっと私にもあっただろう入学式の日。
まるで覚えてない。記憶の彼方に消えてしまっているんだろうか。
もうとうに両親はいない。

母が亡くなる前に車に乗せて桜並木のある場所に連れまわした。
あっちにもあるよ。行って見る。
無口な母はこっくりとうなづいて、私の運転する車の中。
時々覗くと「きれいね〜」とつぶやく。

およそ半日お茶を飲んだり、少し話をしたり・・一方的に話すのは私。
母は黙ってうなずくだけ時々何かを話してくるのは私が幼いときのこと
何時までも子供。母にとって私は間違いなく何時までも子供なのだ。

車のドアを開けて足の弱った母は降りる事を拒む。開け放したドアから風に舞う花びらを手に受ける。

桜のころの私のちょっと切ない思い出。
感性豊かな両親の元で育った私。本を読めと父。新聞を読めと父。
父も母も本の虫。わからない事を聞いて答えてもらえなかった事など一度も無い。

せめて自分の子供に同じ事をと思っても、答える事が出来ず詰まってしまう事も。でもかなり答えてあげられたと思う。

両親は「知識は荷物にならない。」が口癖だった。
知らなくても恥ずかしくは無いが知っていると助かる事も多い。

春に家族で行った山菜取りや今で言うジョギング。

ある程度大人になってみた桜は父の入院中の病院でのさくら。
酸素ボンベを載せてゆっくりと歩いた桜並木。
載せてる台が石ころに止められる。ゆっくりと引いて歩き出す。

二度と同じところで見る事はないけれど、何時までも心に残る風景ではある。

それぞれの想いをのせて今年も桜は咲く。
誰かのひと時に、色を添えて。
テーマ: こころのままに -  ジャンル: その他
by シェイドオブペール  at 20:55 |  未分類 |  comment (22)  |  trackback (0)  |  page top ↑